グリム童話  『ネコとキツネ』

                     訳 角口さかえ

 

ある時のこと、ネコが森の道を歩いて行くと、キツネがやって来ました。

ネコは、キツネは賢いから世の中の事はなんでも経験して知っている、なんでもできるだろうと思いました。そこでキツネにやさしく声をかけました。

「親切なキツネさんこんにちは。お元気ですか?ご機嫌はいかがですか?こんな住みにくい世の中ですよ。キツネさんはどうやってお暮しですか?」

するとキツネは何から何までいばりくさって、えらそうな顔でネコを頭から足の先までじろじろ見てから、なんと答えたらよいわからず、しばらくだまっていました。

そして最後にこう言いました。

「なんだお前は、貧乏なひげ掃除屋じゃないか。お前はブチ色のあほじゃないか。ぺこぺこ腹のネズミ追っかけじやないか。一体何を思ってオレさまにどうだって事きくんだ。お前自分で分かりもしない事を聞くんじゃないよ。お前はいったい何を習ったのさ? いくつの技を知っているというのさ?」

「私がわかる事はたったひとつの技ですよ。」

ネコはつつましく言いました。するとキツネは、

「それはどんな技なのさ?」と聞くと、

「犬が後ろから追いかけて来たら、大急ぎで木に登って自分の身を守る事ですよ。」

「それで全部か?」キツネがそう聞き返すと、つづけて言いました。

「オレは百ほどの技の持ち主だ。この袋いっぱいにその技を描いたリストが入っている。お前はなんだか悩ましいやつだから、オレがどうやって犬を追っ払うのか教しえてやろう。ついて来い。」

 

するとそこへ狩人が四匹の犬を連れて通りかかりました。

するとネコはものすごい速さで木に飛び上がると、てっぺんまで行ってとこに落ち着き、たくさんの葉っぱでも自分の身を隠しました。

「キツネさ~ん 袋を開けて! 袋をあけて~~」

ネコは犬のそう呼びかけましたが、その時キツネはもう四匹の犬につかまってどうにも抜け出す事ができなくなってしまいました。

「あれれ、キツネさん 」ネコは呼びました。

「キツネさん百の技袋といっしょだから、もしかしたら、そのうち逃げ出せるのかな、私みたいにね。

もしキツネつんも私みたいだったら、つかまったりしなかったのにね」

 

 

 

メールヒェン って なに?

「むかし むか~し あるところに・・・・」と語りがはじまります。

たいていそのような語り口調でかたられるのが「むかし語り」です。

そして、グリム童話でも同じく「Es war einmal ein kleines Maedcen・・・」

やはり同じく、むかしむかしとはじまるのです。

 

国や時代を超えて、むかしから語りつがれているお話・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・それがメールヒェン。 

誰かが考え出した作り話ではないもの。

個人のかってな思惑で創作したものではないもの。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・それがメールヒェン。

神代の時代から、精神と心のありさまを直感で感じ取った人が

言葉をとおして語ったものがメールヒェンです。

ですから、世界中に共通性があります。

(日本のむかし話、グリム童話、世界のむかし話は全てメールヒェンです。)

 

そのメールヒェンには、いつもなにか不思議なことが含まれています。

その不思議な事ってなにかしら・・・・・・・・

お話しを聞いて力が湧くのはどうして・・・・・

または、つらい心が慰めらる・・・・・・・・・

そして、心が清められる・・・・・・・・・・・

結果、新たに生きる力を得る・・・・・・・・・

 

そんなふうにメールヒェンを読みすすめると、メールヒェンはさに生きる支えともいえます。

「単に子どもだましな、おとぎ話でしょ」

「メルヘンちっくよねえ~~💛」

などの捉え方がある事も知っていますが、

読みかたしだいで、メールヒェンは神さまからの最高の贈り物と成ります。

その、高貴な作用をもつメールヒェンを、

これから 時間のある限りでひも解いていきます。

 

関心のある方は時々ページをあけてみてください。